木村政雄氏(元吉本興業常務)の講演2007年05月14日

先日、元吉本興業常務の木村政雄氏の講演を聴いた。

息もつかせぬ速いテンポのスピーチ、句読点を感じさせない話し方に
違和感があった。しかし、どんどん話に引き込まれ、あっという間に講
演が終了した。

聴き応えがあり、頑張ろうという活力が湧く話だった。木村政雄氏が
自分自身の考えを講演し、聴き手を魅了する、すばらしいことだと思った。
帰宅後も講演の余韻が残り、家族に講演で受けた感銘を話した。
これを機に、毎週土曜日に家族で吉本新喜劇を見るようになった。
小学生の頃、毎週、吉本新喜劇を楽しみにしていたことを思い出した。

生い立ち、吉本興業への就職、西川きよし・横山やすしのマネージャを
していたときの苦労話、吉本興業の芸人の構成、吉本やめよっかな
キャンペーン、島田紳助がサンデープロジェクトの司会を始めた経緯と
時代を追って話しが展開された。

そしていつの間にやら、企業や競争に話が展開されていた。

■吉本興業
 芸人450名、裏方50名、NSCに東西250名づつが所属
 芸人の上位十数名が1億円プレイヤー
 近年は20名の採用に6000名が応募(東大生も!最終的に辞退)


■吉本やめよっかなキャンペーン
 花月で新喜劇が始まる時刻になると観客が帰り出していた、
 劇がおもしろくないから、実際に見るとおもしろくない。
 吉本の特徴である全員で一斉にドテッとこけたりする動きの多さ、
 テンポの良さがなくなっていた。花紀京、岡八郎、船場太郎、山田
 スミ子などのベテラン役者が牢名主のような存在になり、動きが多い
 脚本を却下するような状態になっていた。
 一人一人の役者と面談し、本当にやる気のある人だけ残ってもらい
 キャリアに関わらず脚本に沿った役を割り当てるようにした。
 そのときに頑張ってくれたのがチャーリー浜や池乃めだかである。
 牢名主がいるような流動性がないシステムはくさる。


■島田紳助がサンデープロジェクトの司会を始めた経緯
 サンデープロジェクトの開始時に朝日放送から吉本興業へ司会者の
 オファーがあった。朝日放送からは、桂三枝もしくは桂文珍との指定
 であった。このとき木村政雄氏は、ツッパリ漫才からの脱却を図ろう
 として暗中模索していた、島田紳助を推した。紳助の将来を考えての
 ことである。桂三枝や文珍であれば、この機会を逃してもオファーが
 あるだろう、紳助には、今しかない。ようやくのことで朝日放送を説得
 した。しかし、放送開始の前夜、紳助のマネージャーから紳助に連絡が
 取れないとの突然の電話がはいった。四方八方探したところ、紳助は
 東京のマンションに一人こもっていた。「やれる自信がない」と、震えて
 いた。背伸びしなくて良い、視聴者が期待しているのは視聴者と同じ
 目線 で発言する紳助だと、説得した。
 これを乗り越えたからこそ、今の紳助がある。


■同業種との競争から異業種との競争へ世の中は変化している

 同業種との競争          異業種との競争
 ------------------------- -------------------------
 よりうまくやる            他社がやっていないことをやる
 前例踏襲型             前人未到型
 能力はストック           能力はフロー
 費やした時間で評価        成果で評価
 抑制型(~らしく)          開放型(~ならでは)
 正解は用意されている       正解は一つとは限らない


■芸の力と人気との関係

                芸の力(高)
                  ↑
                  |
        一人よがり   |  リスペクト(夢)
                  |
 人気(低)←-------+-------→ 人気(高)
                  |
        ダメ        | はやりもの(金) 
                  |
                  ↓
                芸の力(低)

  ※自分たちのポジションを確認することが大事
   妻と夫、会社と社員の関係に置き換えて考えてみる

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